プロジェクトの予実管理

このページでは、プロジェクトのマネジメントの一環として重要な予実管理について解説しています。予実管理の目的や流れ、予実管理をプロジェクト収支管理ツールの活用で効率化する際のポイントもまとめていますので参考にしてください。

プロジェクトの予実管理とは

予実管理とはプロジェクトや案件ごとに事前設定した予算に対して、成果がどのように達成され、また予算と実際にかかった費用との比較結果がどうなっているかといった点を総合的に分析したり、差違が発生しないように管理したりするビジネス上のマネジメント戦略です。

予実管理が適正に行われなければ、プロジェクトが適切に達成されたか否か判断できません。プロジェクトの成否を事前にシミュレーションして利益率や売上見込みなどを算出できなくなります。赤字運営が常態化し、経営が傾くようなリスクが増大します。

プロジェクトの予実管理の進め方

1.予算目標の設定

予実管理を行う時は、まず予算の検討と設定をします。

各プロジェクトにどの程度の予算を設定すべきか、そのプロジェクトの内容はもちろん、過去の実績や予算額を参考にしながら総合的に考えなければなりません。そのため、基本的に予実管理を適正化するには、そもそも前提として正しい予実管理による予算と実績の比較分析が重要となります。

初めて予実管理を導入しようとする場合や、全く新規のプロジェクトで予算を組む場合、それぞれの金額や内訳に明確な根拠を与えられるようにしてください。

2.実際に支出している金額などを集計してズレの有無を確認する

予算を設定すれば、改めてプロジェクトを実行していくことになります。その際に発生している支出や経費はすべて適切に把握されている必要があります。

例えば事前に設定している目的と予算額に対して、実際に目的のために支出した金額が予算額に対してあまりにも大きくズレていれば、その時点で予算設定に問題があったか、あるいは想定されていた通りの適正な運用が行えていないという証明になります。

予実管理のズレが大きければ原因を究明して軌道修正する

予算額・支出額・実績の間で大きなズレが生じている場合、そもそもどうしてそのようなズレが発生したのか原因を直ちに究明しなければなりません。なぜなら原因が他の予算枠にまで影響するものであった場合、プロジェクト全てのキャッシュフローや利益性が悪化して、根本的に破綻したり赤字になったりする恐れが高まるからです。

また、原因が分かれば改めて予算が適正性と実効性を考えながら、現実に沿って予算を組み直し、全体の軌道修正を図る必要もあります。

予実管理の実効性を高める5つのポイント

予算には明確な根拠にもとづいた目標値を設定

予算とは文字通り、あらかじめ試算されている金額であり、合理的なシミュレーションによって算出されているコストの目標額といえます。

そのため、予算を適切に設定する際には「どうしてその金額が必要なのか」という根拠が明確にされていなければなりません。

事前に見積りを取ったり、複数の企業や市場を比較して相場を検証したりと、単なる予想ではなく、根拠にもとづいた試算額を目標値として予算設定することが必要です。

予算目標の過剰な細分化は避ける

予算目標は細かく内訳を考えて費用を取りまとめます。しかし過剰に細分化すると、実際にプロジェクトを進行する際の自由度が失われ、結果的に臨機応変な対処が困難になって何も進められなくなる可能性が生じます。

予算の内訳を明確に意識した目標額・予定額の設定は大切ですが、あまりにも細分化をしてしまい、プロジェクト進行を妨げてしまわないように注意しましょう。

様々な外部要因や季節要因なども考慮する

夏と冬で同じようなプロジェクトを実施しようとしても、季節の違いによるコストの差。進行の困難さといった違いが生じるかも知れません。あるいは数年前と同じ予算目標を設定した場合、海外情勢や国内市場の変化によってコストが数年前とは変わっていることも。結果的に以前は成功した予実管理が今回は失敗するといったケースも考えられます。

どのような業種・業態のプロジェクトであっても、外部要因や季節要因、また突発的なリスクが存在します。それぞれの状況に合わせて調整しなければなりません。

定期的なチェックにより予算と実績のズレを確かめる

予実管理において、いきなり大きなズレが発生するといったケースは稀です。多くは少しずつ生じたズレがいつしかまとまって修正不可能に陥っているといった状況が想定されます。

言い換えれば、予実管理を成功させるには予算と実績が適正に合致しているか定期的に状況をチェック。ズレが発生していれば速やかに対処することがポイントになるでしょう。

原因や課題を分析してPDCAサイクルに反映する

予実管理はそのプロジェクトの成功度や利益性などを考えるために役立つだけではなく、今後のプロジェクトの継続や企画にも重要な役割を果たします。

そのため、予実管理において発見された問題や指摘された課題については必ず分析と原因究明を行い、対策を練って次の予実管理へ反映させていくPDCAサイクルの実施が重要です。

予実管理はプロジェクト1つで終わらせるのではなく、断続的に事業戦略に組み合わせていく必要があります。

予実管理をExcelで行うデメリットは？

予実管理にてExcelなどのスプレッドシートを使って予算と実績を比較するといった手法は珍しくありません。しかし、Excelは多くの人や事業所で使える反面、予実管理を行うツールとしてはリスクやデメリットがあることも事実です。

プロジェクトごとに管理ファイルが作成される

同じコンセプトに則って実施されるプロジェクトであっても、部門や部署、営業拠点ごとの実施。あるいは個々の案件を担当するチームや担当者が分かれている場合、それぞれの現場で管理ファイルが作成されることになります。

そのため、テンプレートを用意しておいたとしても、管理ファイルの数が多くなるでしょう。データの統合や比較検討にも余分な労力を割かなければなりません。ましてやテンプレートがない場合、現場ごとにバラバラの仕様で管理ファイルが作成されるリスクも考えられます。

ヒューマンエラーが発生しやすい

作業担当者が手作業で費用を入力したり、関数を組んだりする場合、どうしてもミスやエラーが生じる確率が上がります。

また、入力ミスや転記ミスに気づかないままプロジェクトが進行した場合、後から問題に気づいた時ではもう修正困難になっているケースもあるでしょう。

Excelは誰にでも使いやすい反面、作業時のミスを検知して修正してくれるシステムが不足しており、安全性に不安があります。

各ファイルや予実管理の現状をリアルタイムで把握できない

予実管理では、いかに現在進行形でズレが生じていないかを確認できるシステムを整えることがポイントです。しかしExcelで予実管理を行った場合、現在進行形で状況をチェックしたり、他の現場やファイルごとに数値を比較して全体のズレを確認したりすることが困難です。

各現場やファイルごとに問題がなくとも、全体で照らし合わせればズレているというケースも。そのようなリスクに対してExcelだけでは対処できません。また発見が遅れることで修正が難しくなります。

プロジェクトの予実管理には「プロジェクト収支管理ツール」の活用がおすすめ

プロジェクト収支管理ツールとは、プロジェクトごとに各種経費を管理して、リアルタイムで収支状況をモニタリングし、問題が生じた際には管理者へ通知してくれるシステムです。

そのため、プロジェクト収支管理ツールを活用すれば、設定予算に対して現状の実績がどのように対応しているか把握しやすくなり、問題発生時にもエラーが生じたポイントを発見しやすくなります。

各データの共有や一元管理も行えるため、プロジェクト収支管理ツールを使って予実管理を行うことは、プロジェクトの生産性や実現性、何より利益性を維持していく上でおすすめです。