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広告業におけるプロジェクト収支管理

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広告業は、プロジェクト収支管理が難しいと言われる業種の1つです。広告業が抱えるプロジェクト収支管理の課題や解決方法について解説します。

広告業におけるプロジェクト収支管理の課題

プロジェクトの正確な収支管理が難しい

広告業では複数のプロジェクトが同時進行で行なわれるほか、外部の企業や専門家が関与することが多く、外注費や人件費などの経費・進捗管理が複雑になるという課題を抱えています。また、プロジェクト案件ごとに条件が異なるというビジネスの特殊性から、プロジェクトが終わるまでは正確な収支を把握できないといったケースも少なくありません。

どんぶり勘定による感覚任せでの収支管理

経費や進捗管理の煩雑さからプロジェクト収支の正確な把握が難しいため、広告業のプロジェクト収支管理はどんぶり勘定になりやすいと言われています。特に各プロジェクトが属人化している場合、収支や売上を十分に把握できず、感覚任せでの収支管理や売上の見通しになりがち。それによって、プロジェクトが終わってから赤字だったことに気づく、という事態になりかねません。

けれど、インターネット広告の台頭や改正下請法への対応などにより、広告業を取り巻く経営環境は厳しさを増すばかりです。広告業が生き残るには、これまでのどんぶり勘定の収支管理を見直して、より厳格な進捗管理や原価管理、収支管理の体制を整える必要があります。

プロジェクト収支管理の課題を解決するには

プロジェクト収支管理ツールを利用する

複数のプロジェクトが同時進行する広告業では収支管理が難しく、最終売上金額のみに目を向ける傾向があります。けれど、それでは本当に利益が出ているのかが分かりにくいため、プロジェクトの収支を見える化することが正確な収支の把握には重要です。

広告業向けのプロジェクト収支管理ツールを利用すれば、これまで属人的だった売上や原価の管理を1つのシステムで行なうことが可能。条件の異なるプロジェクトごとに収支管理を行なえ、複雑だった経費や進捗の管理を効率化できるのも魅力。長期プロジェクトに対して数ヶ月先の利益予測もでき、これまで以上に戦略性の高い経営を叶えられます。

広告業における売上・利益とは

そもそも広告業界において広告代理店などが収入を得るための売上や利益はどのように計算するのでしょうか。

一般的に、広告業における売上は広告を出したいクライアント企業より得られた広告費(手数料)となっており、利益はそこから広告を掲載するためのメディア・媒体へ支払う費用や広告制作にかかる諸費用を差し引いた差額となります。

広告業が受け取る手数料は広告費全体のおよそ10~20%とも言われており、諸費用として経費がかさんだ場合は利益率が2割を切ることも珍しくありません。

広告業における原価とは

広告業における原価には、主として広告メディアへ支払う媒体使用料(媒体費用)と、広告制作にかかった諸費用の2つが分類されることが重要です。

それぞれの内容を解説します。

媒体費用

媒体費用とは、広告を掲載・発信するための媒体の使用料であり、それらのメディアにおける「広告枠」の使用料でもあります。

例えばテレビCMであれば媒体費用はテレビ局へ支払い、雑誌広告や新聞広告であれば雑誌社や新聞社などそれぞれの発行元へ媒体費用を支払うこととなるでしょう。

労務費

広告制作を広告代理店などが請け負った場合、自社の従業員や設備などを使って広告を制作することがあります。また、広告戦略をまとめてサポートしたりディレクションしたりする場合、専門人材としてスタッフがクライアント企業を担当して様々なプロデュースを行っていくことも少なくありません。

労務費は主に自社の従業員がその広告の制作や掲載、媒体との交渉などに携わった場合に発生する人件費です。

なお、1名のスタッフが複数の広告を同時に取り扱う場合、広告ごとに労務費も分割して経費に計上する必要があります。

業務委託費・外注費

広告用の素材写真や動画の撮影、プロモーション映像の制作など外部業者や専門家へ作業をアウトソーシングした場合、当然ながらそれらの業務委託費や外注費も発生するでしょう。

どのような広告を制作するかによって外注先や必要なプロも変わりますが、基本的に外注費が増えるほど利益率は低下します。

諸経費

上記の他にも広告制作や広告業の業務には様々な仕事があり、それらにかかる経費をまとめて諸経費として計上します。

消耗品の購入や交通費、また事務所の家賃や撮影に使用したスタジオのレンタル料などその内訳は様々です。

広告業において原価計算が難しい原因

プロジェクトごとに原価計算が必要になるため

一般論として、広告業は原価計算が難しい業界・業種とされています。それは、例えば製造業や食品加工業などのように、1つの製品を作るための材料や素材の種類・量・価格などが一定条件としてまとめられておらず、制作する広告の内容や予算の規模、クライアントのニーズなどによって毎回必要なものが変わってくるからです。

そのため広告業ではプロジェクトごとに原価計算を行わなければなりません。

1つのプロジェクトに複数の原価が発生するため

プロジェクトごとに原価計算を行うとして、例えば同じテーマで制作したテレビCMであっても、起用するタレントやモデルによって広告制作費が大きく変わるケースも珍しくないでしょう。また、新人タレントとして起用した人物が有名になり、次に同じタレントで広告を制作しようとした際に費用が大きく値上がりしてしまうといったことも考えられます。

プロジェクトごとに費用が安定しないことも原価計算が困難になる理由の1つです。

労務費を正確に見積もることが難しいため

広告代理店では1人の担当者や1つのチームが複数の広告プロジェクトを同時に取り扱うといったケースも考えられます。しかしその場合、プロジェクトごとに予算規模や業務内容が変わることも日常茶飯事であり、単に労務費としてスタッフの人件費をプロジェクトの数で割って平均化するといったことはできません。

どのプロジェクトにおいてどの程度の労務費を計算すべきか、必ずしも正確な基準がないことも原価計算を難しくしています。

適切な原価計算を行うメリット

プロジェクトが赤字になってしまう前に対策を打てる

原価計算が困難だとはいえ、やはり事業として考えるのであれば原価計算を無視することはできません。

原価計算をしっかりと行うからこそ、プロジェクトごとの収支管理を明確化できるようになり、赤字リスクや黒字の理由などを分析・評価して備えることができるからです。

特にリアルタイムの収支管理や原価計算を実行できれば、プロジェクトの赤字化が現実的になる前に対策を講じるチャンスも生まれます

時間のかけすぎを予防できる

収支管理において労務費を考えるポイントの1つが工数や作業時間です。もし予算の金額に見合っていない作業工数や拘束時間が発生していた場合、改めて予算に見合った品質や作業フローなどを考えることができます。

当然ながらクライアントは低予算で高品質な広告の実現を望みますが、広告代理店としては収支のバランスを無視できません。品質とコストのバランスを常に考えながら、自社として適正化を検討していくためにも収支管理や原価計算が重要です。

人員配置や外注費の見直しに役立つ

広告制作に関して労務費の計算や業務委託費・外注費などをきっちりと区別することにより、どの分野で誰に頼っており、自社としてどんな技術やノウハウが不足しているのか視覚化できるようになります。

そして、それらのデータは自社にとっての得意・不得意な分野や技術を改めて自覚する上で役立ち、不要な外注費を削減したり、より効果的な外注先の比較検討に役立てたりすることも可能となります。また従業員の人材マネジメントを考えていく上でもヒントになるでしょう。

経営の意思決定や売価設定に役立つ

経営者が企業の方針や事業戦略を考えて、株主や従業員に理解してもらうためには、どういう論拠や根拠にもとづいてプランニングしたのか意思決定の理由を適切に表明できなければなりません。また、それらの明確な根拠があるからこそ、広告費の価格設定についても論理性や合理性が生まれて、クライアント企業へのプレゼンテーションなどで言葉の信用力につながります

説明をする上で客観的な数字やデータは重要であり、原価計算はそれらの根拠を算出するためにも効果的です。

広告業でプロジェクト収支管理ツールを導入した事例

予実管理のズレやエラーを解消できた

人材紹介業やフードビジネス事業などを営むA社では、プロジェクト収支管理ツールを導入する前はExcelのシートなどで売上や粗利、経費といった数字を管理していました。しかし人件費は最終的に月ごとの締め日を超えなければ考えることも困難であり、また記入ミスなどが原因で計算が狂うことも少なくなかったそうです。

しかしプロジェクト収支管理ツールを導入した結果、案件ごとの予実管理がスムーズに行えるようになり、税理士へ提出する資料の作成作業の負担も軽減しました。

参照元:プロカン公式HPhttps://www.project-shuushikanri.jp/intention/

毎月の請求書作成業務の負担が軽減してmacOSにも対応した

イベントプロモーションやデザイン事業、映像制作やアプリ開発といったクリエイティブ分野の事業などを幅広く手がけるB社では、複数の部門ごとに色々な外注費用や請求作業が発生しており、毎月の事務作業の負担が膨大になっていたそうです。また、従来のシステムはWindowsのみに対応しており、macOSを利用しているクリエイターとの連携に難があったことも問題でした。

しかしプロジェクト収支管理ツールを導入したことで請求書作成業務が効率化し、macOSとも直接連携できるようになってクリエイターとのやりとりも迅速化しました。

参照元:プロカン公式HPhttps://www.project-shuushikanri.jp/cns/

適正な品質管理と業務効率の追求を同時に叶えられた

ダイレクトマーケティング事業やコンサルティング事業を営むC社では、事業成長に伴って売上が拡大しているにもかかわらず、利益として反映されないことが経営課題となっていました。

利益率向上につながらなかった理由として、原価計算や予実管理の不足があり、改めて自社ニーズに合わせて調整したプロジェクト収支管理ツールを導入したそうです。

すると損益計算が明確化した上でクライアントやプロジェクトごとの予実管理が適正化し、過剰な品質追求や原価を無視したマネジメントといった問題が是正されました。

参照元:ZAC公式HPhttps://www.oro.com/zac/casestudy/fusion.html

OSのアップグレードに対応した収支管理ツールが必要に

広告代理店として鉄道会社の広告展開をサポートしているD社では、独自システムとして導入していた管理ツールが旧バージョンのWindowsにしか対応しておらず、OSのアップグレードに合わせて早急なシステム入れ替えが必要でした。

そこで幅広いプロジェクトを管理できる収支管理ツールを採用したところ、従来システムよりも取り扱える帳票の種類やプロセスの数が増加し、予実管理を前提とした申請・承認プロセスも自動化できました。

参照元:ZAC公式HPhttps://www.oro.com/zac/casestudy/keikyu-ad.html

業界に特化した
プロジェクト収支管理
ツール2選

案件ごとの収支管理をする機会が多い業界・業種に特化したツールを使うことで、
ストレスなく痒い所に手が届く利用が実現できるでしょう。
こでは、プロジェクト収支管理ツール19社を調査し、業界に特化したおすすめツールを選出しました。

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選定基準

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  • 公式サイトにサービス費用が明記されている
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プロジェクト収支管理ツールおすすめ3選の画像リンク
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